ENEOS、タツタ電線TOBを6月21日に開始|計画発表から1年半、中国当局が承認

ENEOSホールディングスは12日、傘下のJX金属(東京都港区)を通じて行うタツタ電線に対するTOB(株式公開買い付け)について、中国の競争法当局から承認を得たと発表しました。これにより、6月21日からTOBを開始する予定です。ENEOSは2022年12月にタツタ電線をTOBで完全子会社化する計画を発表し、2023年6月にTOBを開始する予定でしたが、中国当局の審査が長引いていました。

中国当局は、JX金属とタツタ電線が中国で供給する製品の一部について競争法上の懸念を示しました。これに対し、JX金属は問題解消のための措置を提案し、その内容について協議を重ねました。その結果、問題解消措置を実施することを条件に承認が得られました。

JX金属がタツタ電線の株を買い取る価格は2022年12月の発表によると1株720円とされています。6月12日のタツタ電線の株価終値は前日比32円高の747円でした。

JX金属は現在タツタ電線株の約37%を保有しており、同社を持ち分法適用関連会社としています。今回のTOBでさらに株式を取得し、完全子会社化する予定です。買付代金は最大で281億円です。これにより、資源不足や国内市場の縮小といった非鉄金属産業の環境変化に対応し、電子材料関連事業の基盤を強化する狙いがあります。

タツタ電線は1945年に設立され、電線・ケーブル事業、電子材料事業、センサー・メディカル事業、環境分析事業を展開しています。JX金属の前身である日本鉱業は、電線向け銅原料をタツタ電線の草創期から供給しており、資本関係は1954年から続いています。